あなたらしいリーダーシップを発見する問いかけ:経験を活かすキャリア思考
経験を積み重ねた今、見つめ直す「あなたらしいリーダーシップ」
これまでのキャリアで様々な経験を重ねてこられた皆様の中には、日々の業務をこなすだけでなく、チームや組織に対して、あるいは後進に対して、ご自身の経験や知見をどのように活かせるか、どのような影響を与えられるか、といったことに関心を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あるいは、役職の有無に関わらず、チームをより良い方向へ導きたい、周囲との協力を促したい、といった漠然とした思いを抱きながらも、具体的にどのような行動を取れば良いのか、あるいは自分自身にそのような力があるのか、と戸惑いを感じることもあるかもしれません。
ここで言う「リーダーシップ」は、必ずしも役職や肩書きに伴うものではありません。それは、他者やチーム、組織に対して前向きな影響を与え、共に目標に向かって進む力を指します。そして、その形は一人ひとり異なります。あなた自身の経験や強み、価値観に基づいた「あなたらしいリーダーシップ」が必ず存在します。
ご自身の内面に深く「問いかける」ことは、この「あなたらしいリーダーシップ」の可能性を発見し、日々の仕事の中でどのように発揮していくかを見つけるための有効な手段です。
なぜ今、自身のリーダーシップに問いかけるのか
キャリアの経験を10年以上重ねると、単に与えられたタスクをこなすだけでなく、より広い視野で物事を捉え、周囲と協力しながら成果を出すことが求められる機会が増えてきます。この段階で自身のリーダーシップについて考えることは、キャリアの次のステップを考える上で非常に重要です。
ご自身の経験を棚卸し、どのような場面で周囲に影響を与えてきたか、あるいはどのような状況で力を発揮できたかを問い直すことで、無自覚だった自身の強みや行動パターンに気づくことができます。また、自身の価値観とリーダーシップのスタイルを結びつけることで、より自然体で、かつ効果的に周囲と関わる方法が見えてくるでしょう。
これらの内省は、例えば管理職への昇進を検討する際だけでなく、専門職としてチームを牽引する、プロジェクトリーダーとして多様なメンバーをまとめる、あるいは後輩育成に力を入れる、といった様々な場面で役立ちます。自身の「影響力」の源泉を理解することは、どのような環境においても、あなた自身の経験を最大限に活かし、組織に貢献していく力となるのです。
あなたらしいリーダーシップを発見するための問いかけ
それでは、あなたらしいリーダーシップの可能性を探るための具体的な問いかけをいくつかご紹介します。これらの問いかけに対し、時間を取ってじっくり考え、心に浮かんだことや過去の経験を書き出してみることをお勧めします。
1. 過去の経験からリーダーシップの芽を見つける問いかけ
これまでのキャリアの中で、あなたが周囲に良い影響を与えられたと感じる瞬間はどのような時でしたか? その時、具体的にどのような行動を取りましたか?また、周囲はどのように反応しましたか? 困難な状況で、自分がチームやプロジェクトのために主体的に動いた経験はありますか?その時、あなたは何を感じ、何を学びましたか? 過去に経験した成功や失敗の中で、あなたが「自分がこの状況に貢献できた」「自分が関わったからこそ結果が出た」と感じるものは何ですか?
これらの問いかけは、あなたが過去にどのような場面で、どのように周囲と関わり、成果に貢献してきたかを振り返ることを促します。意識していなかった自身の行動や強みに気づくきっかけとなるでしょう。
2. 現在の状況と自身の役割を問い直す問いかけ
現在のチームや組織において、あなたが最も貢献できることは何だと思いますか?それは、あなたのどのような経験やスキル、特性を活かせる点ですか? 周囲の人たちは、あなたのどのような点を頼りにしていると感じますか?それはなぜだと思いますか? あなたが理想とするチームのあり方、あるいは組織の文化はどのようなものですか?その理想の実現のために、自分は何ができるでしょうか?(役職や立場に関わらず) 今の職場で、あなたが主体的に関わって「ここをもっと良くしたい」と感じる部分はありますか?それは具体的にどのような点ですか?
これらの問いかけは、現在置かれている状況における自身の立ち位置や、発揮できる影響力、貢献できる可能性について考えることを促します。日々の業務の中に隠された、リーダーシップを発揮できる場面が見えてくるかもしれません。
3. 自身の価値観やスタイルを探る問いかけ
あなたが仕事を通じて特に大切にしている価値観は何ですか?(例:誠実さ、挑戦、チームワーク、成長支援など)それは、あなたの周囲との関わり方にどう現れていますか? あなたがこれまでに関わった人の中で、「この人のリーダーシップは素晴らしい」と感じた人はいますか?その人のどのような点に魅力を感じましたか?それは自分自身のスタイルと比べてどうですか? 他者との協力を促すために、あなたが自然と行っていること、あるいは意識的に取り組むことができることは何でしょうか? あなたがストレスを感じやすい状況や、逆に最もモチベーション高く取り組めるのはどのような状況ですか?それは、どのようなスタイルのリーダーシップがあなたに合っているかを示唆していますか?
これらの問いかけは、あなたの内面にある価値観や、あなたが共感するリーダーシップのスタイルを探ることを促します。あなたにとって自然で、エネルギーを注げるリーダーシップの形が見えてくるでしょう。
問いかけから得られた気づきを整理し、次の行動へ
これらの問いかけに対する内省を通じて、様々な気づきがあったことと思います。それらの気づきを断片的なものにせず、自身の言葉で書き出してみる、あるいは信頼できる同僚や友人に話してみることで、思考を整理し、より明確な形にすることができます。
気づきを整理する際には、例えば以下のような視点でまとめてみてください。
- 自分が過去に発揮してきた(あるいは発揮したかった)「影響力」の共通点は何か?
- 今の職場で、自分の経験や価値観を活かして貢献できる具体的な場面はどこか?
- 自分が大切にしたいリーダーシップのスタイルや価値観は何か?
- 理想とする状態に近づくために、今日、あるいは明日から取り組める小さな一歩は何か?
大きな変化や役割を担うことだけがリーダーシップの発揮ではありません。日々の業務の中で、積極的に周囲に声をかける、自分の知見を共有する、チームの課題を提案する、後輩の相談に乗る、といった一つ一つの行動も、あなたらしいリーダーシップの発揮と言えます。
問いかけによって見出した小さな一歩を、まずは実践してみましょう。その経験から再び学びを得て、さらなる問いかけへとつなげていく。このサイクルを回すことが、あなたらしいリーダーシップを育み、キャリアをより豊かなものにしていくことにつながるはずです。
まとめ
経験を重ねたビジネスパーソンにとって、自身のリーダーシップについて問いかけることは、キャリアの可能性を広げ、より深く仕事に関わるための重要なステップです。ここでご紹介した問いかけが、あなた自身への内省を深め、「あなたらしいリーダーシップ」を発見し、日々の仕事の中で発揮していくためのヒントとなれば幸いです。問いかけの旅を通じて、あなた自身のキャリアパスをさらに主体的に切り拓いていかれることを願っています。